夜の街に恋人と歩いていると湿度が高くなったのか、空気がぼんやりとしていた。柔らかい光が街中に灯って幻想的だった。
「きれいですねぇ」
ジメッとしていたけれど、俺はつい彼女の手を取って彼女に視線を送る。
「いや?」
少しだけ不安になってそう彼女に聞くと、柔らかい笑顔を向けてくれた。
「嬉しいです」
キュッと手を握り返してくれる。眉を八の字にさせて照れた顔はすごく愛らしくて、胸が暖かくなった。
すぐ霧は晴れてしまうかもしれないけれど、彼女との時間が続けばいい、そんなふうに思った。
おわり
五二〇、光と霧の狭間
10/18/2025, 2:12:15 PM