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あなたにとって友だちの定義ってなんですか?私の中では心と心を通わせることが存在です。そして、私には一生忘れることのできない大親友がいます。

リーベと出会ったのは、私が大学を卒業して大学院に入るまでの1年の空白期間。浪人というのでしょうか。大学院を目指していたのをいいことに、悠々自適なニート生活を送っていた時のことでした。

当時住んでいた地域の社会福祉協議会の紹介を受けて、母がリタイアした盲導犬のお散歩のボランティアすることなりました。彼女の名前はリーベ。ワンちゃんが大好きだった私は、母にくっついてリーベの散歩に行くことにしたのです。

リタイアと言ってもリーベの場合はちょっと複雑でして。

盲導犬をリタイアした後、子犬の時に暮らしていたお家に引き取られたのですが。その方が病気で亡くなってしまい。行き場のなくなったリーベは、リーベと長年一緒に暮らしていた視覚障害者の方の所で暮らすことになったそうです。

私がリーベと出会った時、彼女は14才。ボランティアを始めた当初は、わき目も振らずにひたすら歩いて。教育を受けたワンちゃんてすごいんだなって感心したものでした。

お散歩をしてしばらく経つと、生真面目なリーベも一緒に歩く相手によって態度を変えるようになり。私が一緒だとあちこちニオイをかいだり、お散歩中に出会ったワンちゃん友達と遊んだりするようになりました。

しかしながから、残念なことに…。私の大学院進学が決まり、リーベのお散歩に行くことができなくなりました。私の母が一人で散歩に行くようになったのですが、16才になっていたリーベは、足腰がすっかり弱くなり。母が散歩に行っても、短時間しか歩けなくなっていたそうです。

そんな話しを母から聞かされ、リーベの心配をしていました。大学院が夏休みに入ったため、散歩に同行することに。会わない間にすっかり足元がおぼつかなくなっていた彼女の姿を見て、涙が込み上げたのを覚えています。

それなのに、リーベは一生懸命歩いてくれました。そして、いつも3人で歩いていた40分ほどの散歩コースを歩き切ったのです。

夏休みの間、リーベの散歩を継続しました。

散歩の途中、坂道で歩みを止めたリーベを抱っこして登ったことがありました。すると、くせになったのかその後も坂道に差しかかると座り込むようになり。老犬とはいえラブラドールですから、かなりずっしり重かったです。汗だくになりながら坂道を登る私と、快適そうなリーベ。

それなのに、抱っこされていたくせに家の近くになると急にしゃきしゃきと歩き出すんです。そして、素知らぬ顔で門を通り過ぎてまだまだ歩き続けようとして。

サヨナラの時はいつも、じーっとこちらを見つめるリーベの視線から逃げるようにして退散したものでした。

そんなリーベが16才で天寿を全うした時は、しばらく泣き続けました。泣いても泣いても涙が枯れ果てることはないと知った24の夏。

ワンちゃんを見るたびにリーベのことを思い出します。今でもあの愛くるしい大親友のことを忘れることはありません。

7/6/2024, 3:17:44 PM