Ponnu

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途中書きです。すみません。


「君の声がする」

私と君は毎朝一緒に登校して下校する仲だ。

だがしかし、今は喧嘩中である。


その日、私は君と放課後に学校近くに新しくできたお菓子のお店へ行こうと約束していた。
前もって放課後に用事があるから少し遅れるかもしれないと連絡していた私は、終礼が終わってすぐに用事を済ますため職員室へ向かった。
担任の先生と話し終わりようやく帰れるとなった時には、もう既に終礼から30分以上経過していたから急いでいつもの待ち合わせ場所の図書館に行ったけど、あたりには誰もいなくて君は先に帰ったのだろうと思い、一人で帰ったのが一昨日。

翌日の朝、待ち合わせの駅で君を見つけて「おはよう、昨日はごめんね」と私が謝ると、君は「1時間くらいずっと探してたんだよ。どこにいたの?」と怒ったように言った。
「なるべく早く用事を終わらせようとしたんだけど、終礼が終わるのが他のクラスよりも遅くて、図書館に着いた時には30分くらい経過してたんだよ。図書館でかなり探したけど、いなかったから一人で帰ったんだ。てっきり先に帰ったんだなと思って…。ずっと探してたなんて知らなくて、ごめん」
「全然来ないから教室にいたんだよ。放課後にどこか遊びに行くときはいつも教室に来てくれるでしょ?だから教室なら来てくれるかなって」
「えっ?教室にいたの?」
確かに私は放課後一緒にどこかへ行くときは必ず君に教室まで会いに行くけど、それは授業と授業の合間の放課であって、放課後は普通に図書館で待ち合わせで教室まで会いに行ったことはないじゃないか、と一瞬思った。
でも君はそう考えてなかったからすれ違ったんだし、そもそも私が大幅に遅れたのが悪かったから、とそう思い直す。
「あぁ、行きたかったなぁ。なんで教室に来てくれなかったの?ずっと探してたのに」
ずっと探してたのに、という君の言葉に少しむっとする。
「遅れたのは悪かったけど、前もって遅れるって連絡してたし、なるべく早く用事を終わらせて図書館でずっと探したよ、私は。あんたはずっと私を探してたって言ってるけど、教室にいただけじゃん。それに私は授業と授業の合間に教室へ行ってあんたと約束を確認することはあっても、放課後に教室へ行ったことはないよ」
少し言いすぎてしまったかな、と思った時にはもう遅かった。
「あっそう、そう思うならどうぞご勝手に。あーぁ、ずっと待ってた時間返してほしい」
君はわざと周りに聞こえるよう大きな声で言って、スタスタと去っていった。

なんでずっと教室にいたのに、探してたなんて言うんだろう。
もしかして私が知らないだけでずっと同じ場所に留まり続けることを探していたと言うんだろうか。
授業中、集中できず朝のことを考えていると、突然先生に当てられた。
「主人公が『もう放っておいてよ!』と言ったのにはどのような思いが含まれているからだと考えますか?」
「えっと、一人になりたいから、とか?」
「本当に主人公は一人になりたかったんでしょうか?」
「そうじゃないんですか?」
「…素直なのは君の美徳ですが、言葉と心は常に同じとは限りませんよ」
その時ちょうどチャイムが鳴った。
「では、また明日同じ質問をするので、明日までにそれ以外の答えを考えてきてください」

終礼が終わり、朝に言い過ぎてしまったことを謝るため、いつものように放課後に図書館へ行ったが、君はいなかった。

その夜、なかなか眠れなかった。
これまでにも喧嘩したことはあった。
でも今まではすぐに仲直りできていたのだ。

―君の心の声が聞こえたらいいのに。

そう、私の心の声が願う。


そして今日に至るわけだが、朝の待ち合わせ場所にも君は訪れなかった。
どうにか仲直りしたくて昼放課に君の教室へこっそり行くと、君は教室でクラス内の友達とご飯を食べていた。

…今日のお弁当、好きなのばっか入ってる。

どこからか小さく声がした。
誰の声か突き止めるため、耳を澄まして辺りを見回す。


2/16/2025, 6:22:30 AM