特盛りごはん

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「ずっとずっと大嫌いだったよ」

 そう吐き捨てた彼女の表情は私の知るそれとはあまりにも違っていた。そんな顔が出来たのか、と驚いてしまう程に。
 戸惑う私を映す瞳に温度はなく、いつも緩やかに弧を描いていた唇は小さく噛み締められて白くなっていた。放たれた言葉に受けた衝撃よりも彼女のその表情こそが私に現実を突き立てる。
 穏やかな質の筈の彼女のこの歪みの原因が私であるというのなら。私が何年も彼女に抱いていたこの情は、一方通行な身勝手なものは、一体何だったというのだろう。
 それに答えてくれる友人は、もう居なかった。



/友情

7/24/2023, 12:22:56 PM