〔お題:失恋〕
【タイトル:好きの意味】
昔から、よく僕に「好き」と言ってくれた幼なじみの彼。
あまりに僕にばかり「好き」を言ってくるので、僕は彼のことを好きになってしまった。
けれど、それは解釈違いだったみたいだ。
この間の放課後、忘れ物を取りに教室に行った時、こんな会話が聞こえた。
「お前ってさ、ホントにアイツのこと好きだよな~」
「なんだよ突然…なんか悪いかよ」
「いんや、そろそろ告ったりしねえのかなって」
「そ、そんなんじゃねえし!弟みたいで好きってだけだし!!」
「ホントか~ぁ??」
僕にとっては誰よりも大切な存在だったのに、彼にとっての僕は自分の弟と同等の存在だったんだ。それを自覚したときの急に心がしぼんだような感覚を鮮明に覚えている。
人生で、初めての失恋。
「こんなに、くるしいんだ…」
でも考えて考えて、やっと吹っ切れた気がした。
告白するだけして、すっぱり諦めてしまおう。
だから今日、放課後の屋上に彼を呼び出した。
「…どした?話って」
「うん…率直に言わせてもらうけど、僕、君のことが好きだったんだ」
「…え、俺?」
「うん…でも、君はそうじゃないみたいだから諦めようとおもって。弟みたいなんでしょ?僕」
「っ、それは…」
困ったように顔が歪む彼に未だ胸を痛めながら心を鬼にして言葉を続ける。
「…僕ね、君も僕のこと好きなんだとおもってたんだ。好きって、言ってくれてたから。でもそれは弟みたいな存在としての『好き』だったんだよね」
「…ちが」
「勘違いしちゃってごめんね。これからもいい友達でいよう」
泣きそうになる顔をうつむかせて、彼の横を通りすぎる。
これでいいんだ。元に戻ろう。そう言い聞かせて。
「勘違いじゃねえよ…」
屋上の扉を出るとき、彼が何か言った気がしたけど、気にする余裕なんてなかった。
ハピエンまっしぐらの勘違い失恋
彼は今まで必死にアプローチしてましたがね
弟っていうのは単にばれたくなくて誤魔化してただけ(けどバレてる)
焦った彼が「僕」くんを呼び出して大告白するまで、あと少し。
6/3/2023, 1:02:04 PM