月下の胡蝶

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お題《どこまでも続く青い空》



ネモフィラの花の海が風に誘われ泳ぐ。花の海の向こうに広がるのは、果てしない蒼海だった。

花の海の真ん中にお墓が建てられているが、立ち寄る者は誰一人いない。花の香りに導かれ訪れるのは、遠い旅路の果てにたどり着いた蝶だけ。



空はラピスラズリのように知的で、美しい。もし人だったらクールで、本が似合いそうなイケメンかもしれないなと思う。




わたしは祈った。


かつてのわたしはずっと引き籠もったまま空を、部屋から見るだけだった。でも今は、鳥籠から出て行けられたから――幸せだと思う。


わたしは正しい。


でも世間では、きっと正しくない結末だろう。

わくわくしながら読み進めた物語が、結末はつまらない、みたいな。




わたしは祈った。



たったひとりでいい。






――わたしを理解してくれる、寄り添い、微笑んでくれる誰かとの邂逅を。




10/23/2024, 10:33:13 AM