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何も変わらない時間に目覚ましが音を出す。
その音はいつもとは違って
私の頭を締め付けているようで
倦怠感が襲ってきた。

目覚ましを止めて
すぐに体温計に手を伸ばす。
ピピッそんな音が鳴って画面を見た。
38.0℃そんな数字が示されていた。
熱,風邪か...。
彼に直接は移す可能性があるので
LINEで送ることにした。

「風邪ひいた。」
すぐに既読がついたが返信が来ない。
すると部屋の外から
「大丈夫?」
なんで大きな声で焦ったように言ってくるから
「大丈夫だけど大丈夫じゃない」って声を出した。
声を出したら喉が痛くて
私の声はちょっとかすれた声だった。

「大丈夫じゃないじゃん!」
そう言って彼はどこかに行ったような足音がした。
何も言わずにどこか行くから少し悲しくなった。

しばらくして「ただいまー」彼の声が聞こえた。
彼はマスクをしたまま私の部屋に入ってきて
「冷えピタとかゼリーとか
解熱剤とか色々買ってきたよ。」
なんて言ってくれた。
「ありがとうだけど,
何も言わないでどっか行かないでよ。」
「少し寂しかった!」
そう言うと
「ごめん,どこ行くか言ってなかったっけ?
めちゃくちゃ焦って忘れてた。ほんとごめんね。」
頭に手をポンと乗せて言ってきた。

「薬飲むためになんか食べないといけないから
うどんでいい?」
私が頷いたのを見て彼は作りに言ってくれた。

彼の優しさになんだか涙が出そうだった。
薬を飲んだら寝るんだよって彼は言ったけど
「寝るまで一緒にいてくれる?」
言ったら
「やだ」
なんて意地悪な答えが返ってきたから
服の袖を引っ張って目を合わせて言ったら
「狡いわ」
なんて耳を赤くしてそばにいてくれた。

ありがとう。
看病してくれて,優しくしてくれて
今度お礼しなきゃね。
そのために早く治さなきゃ。
どんなときも優しくしてくれるあなたが大好きだよ!





─────『風邪』

12/17/2022, 12:18:09 AM