るな鳥23

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今日はずっと冴えない1日だった。仕事ではミスをするわ、残高不足で電車に乗れなかったり……。唯一の楽しみである週刊少年誌も売り切れていた。まぁそんな日もあるよね。と思いつつとぼとぼ歩いていると耳をつんざくような悲鳴にも近い雄叫びが聞こえてきた。なんだと声のする方向を向けばなんとナイフを持った女が居た。


「うぅうう、うぁぁああ!」

半狂乱になりながら女かこちらへ向かってくるではないか!いやだ。さ、刺される!まだやり残したこともあるし親孝行もし足りないのに!しかし、女は止まらないし、逃げる時間もない。もうダメだ。そう思い目をぎゅっとつむる。痛いのかな。嫌だな。おじいちゃん待っててね。

「グッ」

しかし、実際に刺されたのは隣にいた筋肉モリモリマッチョマンだった。私は予想外のことに驚いたがそのまま駆け寄った。

「だ、大丈夫ですか?!救急車呼びます!」

私は助けを呼ぶべくスマホを取り出す。しかし、それを静止したのは筋肉モリモリマッチョマンだった。

「いえ、その必要はありません。」

なんだって。そう思い彼の体を見るも傷はとこにもないどころか刺そうとしてきた女がぶっ飛んで壁にめり込んでいる。一体何が起こったのか。

「全て日頃の鍛錬の成果……。この鍛えし筋肉に不可能は無い!」

「説明しよう!」

閃光のごとく眩い光が突如現れ、反射的に振り向く。貴方はっ!説明と解説をしてくれるタイプの博士!

「彼の体は全身筋肉におおわれているナイスマッチョじゃ。つまり鋼の肉体……。鋼の筋肉のおかげで彼の身は傷一つ付いておらんのじゃ。しかし刺そうとしてきた女性は鋼の筋肉へぶつかった反動で壁へめり込んでしまったんじゃな。」

鋼の筋肉……!なんて強さを誇るの……!

「あなたに怪我がなくて良かった。では私は次の助けを求める人の元へ行きます。ではお元気で!」

「待って!筋肉モリモリマッチョマン!」

叫ぶように声を上げ、私は筋肉モリモリマッチョマンの手を掴む。

「待って!いかないで、助けてくれたあなたにお礼がしたいの……!」

これは紛れもなく私の本心だった。助けてくれたヒーローにお礼がしたい。そして願わくば、もっと知りたい。

「ごめんなさい。私の筋肉は全人類の平和のためにあるのです。でも、貴方のキモチはしっかりとこの大胸筋に刻んでおきます。」

胸をトンと叩く動作をしたあとどこかへ走り去ってしまった。あぁ、行ってしまうのね筋肉モリモリマッチョマン……。あなたのおかげで世の中悪いとこだけじゃないって、わかったのに。あなたにお礼も言えてないのに!また逢えるかしら……?その時までさようなら筋肉モリモリマッチョマン。また逢う日まで、さらば筋肉モリモリマッチョマン。


【お題無視】

3/10/2025, 10:22:04 AM