Saco

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脳裏
「私の事は、忘れてしまっていいから」
そう言った 君の寂しそうな笑顔を
僕は、頭の中で何回も何回も再生する。

意識が揺蕩っている直前 明かりが
パッと付く
見ると映画の エンドロールが流れていた。

「お兄ちゃん 行くよ!」

妹に そう声を掛けられ
僕は、席を立つ


「この映画アンコール上映が何回も
されてるよね
お兄ちゃん上映されるたび何回も
見に行くんだもん!
だから、私も興味出て来て
今日一緒に付いて来たけど...
すっごく良かった。」

妹が隣で、燥いでいる。
パンフレットを見ながら僕の方を向く
「この 女優さん お兄ちゃんと
同い年だね!」

「うん...」僕は、静かな声で頷いた。

いつか 君が言っていた
忘れてしまっていいからを
僕は、守りたくなくて、
君の笑顔を脳裏に焼き付けたくて...

僕は、君に性懲りも無く会いに行く
映画館のタイトルポスターを
見ながら また同じ風に席に
座り 君が再生されるのを眺め続けている。


11/10/2023, 3:16:02 AM