銀時計

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『風に身をまかせ』11/298
広く、どこまでも広がる青い海。
太平洋だろうか、それとも大西洋か。
ぼくは、その上でいかだに乗っている。
ぼろぼろの布を張って、風を受ける。
どこへ行くのかも知らず、流される。
周りを見れば、エンジンをふかして進む船、
オールを手に持ちせっせと漕いで進む舟、…生身一つ?
みな、どこかを目指している。
彼らが探し求めるものが眠る、その場所へ。
対してぼくは、どこを目指しているのだろう。
まだ分からなくても、きっと、いつか見えるはず。
進むべき道が見えたとき、いかだを捨てて進もう。
それまでは、風に身をまかせ。

5/14/2024, 2:39:50 PM