スープ

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素晴らしい朝が訪れたようだ。新聞配達バイクのエンジン音、顔に射す太陽光線の温度、なにより朝だよと私を起こす母の声。その全てが私に朝を伝える。おはようの代わりにコケコッコーと叫んでみた。返事はなかった。だからという訳ではないけどそれから程無く二度寝した。次に聞いたのは案の定怒鳴り声だった。体を起こして寝室から出て、しっかり手すりに掴まって階段を降りた。
「朝ごはんは昨日のカレーよ」
たしかにいい匂いがする。わくわくと椅子に座ったときについた右手がスプーンを落としてしまった。床が畳だから金属音はしなかった。母は匙を静かに拾い上げてこう尋ねた。
「やっぱりチキンカレーが食べたい?」
私はチキンカレーが大好きだったけど、別に。って答えた。



とりとめがない話
とりとめもない話

12/18/2022, 6:08:58 AM