「マグカップ」
朝の光が差し込む窓辺
テーブルの上に、ひとつのマグカップ。
ぬくもりはもう消えていて
中身も空っぽ。
手に取ろうとして、やめた。
それはまるで、昨日の夢の続きのようで
触れれば何かが壊れそうだった。
動きたくても、どこへ向かえばいいかわからない。
あのときの決意も、もう少し熱があれば…
でも今はただ、冷めているだけの時間に
身を任せている。
指先に残る、かすかな陶器の感触。
それだけが、今をつなぎとめている。
まだ捨てられないマグカップ。
まだ、終わらせられない気持ち。
6/16/2025, 6:26:19 AM