作:ロキ

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すべての始まりは、1冊の本からでした。

いつもの様に、学校終わりに放課後
図書館へ行きました。もちろん、勉強をしに…
と、言うのは口実。本当は…
家に帰っても、家の鍵を持っていないから
中へは入れません。私は、兄と二人暮らし。
「いくら鍵をかけても、1人だと物騒だから。」と
兄は、心配します。なので、学校近くの図書館へ
行って、兄が迎えに来るのを待ちます。
友人には、過保護に兄ね。と笑われますが
私にとっては、幼い時からの当たり前の日常です。
なので、おかしくも何ともありません。

それに……。図書館へ行くのが楽しみでもあるんです。

それは、司書さんに会えること。

幼い時から、図書館に行っているので
図書館で働いている、お姉さんや
お兄さん方とは顔見知り。

けれど……半年前に、新しい司書さんが来てから
私の…全てが180度変わりました。

新しい司書さん。名前は 夢羅 和多利(ユラワタリ)
髪は肩より長めで1つに髪を結んでいて
背は、180センチ有るか無いかぐらい?
瞳の色は、グレーが入った色
歳は、分からないけど……多分、年上?

極め付きは……声の低さ!

図書館で、見かけた瞬間…声を聞いた瞬間

恋に落ちたよね。私って、チョロいな〜…。笑

すぐ、顔見知りの図書館のお姉さんに
聞きに行ったよね。笑 あの人、誰!?って。
お姉さん…顔をニヤニヤとさせて
教えてくれたけど……何なの?

その日から、私は
毎日、毎日欠かさず図書館へ向かった。
ヘアアレンジを変えてみたり、制服を綺麗に着てみたり
爪をピカピカに磨いてみたり、伊達メガネもしてみたり
ありとあらゆる事をした。……けれど!!

ここ、2ヶ月。色々してみた結果……
なぁ〜んにも、変化なし!!

やっぱり、女子高校生は駄目かぁ〜。
ガキすぎるか………。はあ…。


なんて、考えながら図書館の受け付けで
本を借りるため、パソコンに向かって作業をしている
夢羅さん。カタカタとキーボードの音を聞きながら
ボーっとしていた私。

『はい。返却日は2週間後』

「…はぁい。」

私は、返事をしながら本をしまうのに
リュックのチャックを開けていた
開け終わって、ふと借りた本の方を見ると
本の上に紙が置いてあった。

ん??こんなのあったっけ??

紙の大きさは、名刺ぐらいで4つに折り畳まれていた。
私は、紙を摘み広げてみた。

広げ終わると、そこには達筆で綺麗な字で
こう、書いてあった。


《 三法 清蘭 様 (ミノリ セイラ)
  もし、あなたの都合が良かったらですが…
  今度の土曜日、一緒に出かけませんか?
  返事を待っています。 夢羅 和多利 》


………えっ…?…私の名前…
私は、パッと目の前のその人に顔を向けると
彼は、恥ずかしそうに耳まで紅くしながら
こちらを見つめていた。

彼は、こうも呟いていた。
 『あと…連絡先も…』

私は、突然のことで動揺してしまい
誤って、借りた本を床に落としてしまった。




借りた本のタイトルは…『本気の恋』



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後日、図書館のお姉さんから聞いた話。
司書さんは、大学生1年生
図書館には、叔父さんの手伝いという名の
アルバイトらしい。
私の事は、叔父さんから聞いていて知っていたみたい
それで、半年前に図書館でアルバイトを始めるぞ!
って、タイミングの時に私を見かけて一目惚れ

そこから、気になっていたけど声をかけられず
モヤモヤしていて図書館のお姉さんに相談したらしい。

そして、今日。
来週は、図書館がお休みだし会えるのは2週間後
誘うなら、今日だ!と思ったんだって。





そうそう!一緒に、お出かけもしたよ。
えっ…?どこに、行ったかって??

それは……ご想像におまかせします。笑

9/12/2024, 1:39:59 PM