昔から絵が上手だった。小中高大と私よりも絵が上手い人はいなかった。だからなのか私をみんまでおだて始めた。体育祭も文化祭も全部私が絵を描くことになっていた。
才能がある人は一握りだが強制的に描かされる中で楽しめる人はほんの一握りだ。私は絵の才能はあるけれど楽しめることはできなかった。だから絵を次第に描くことが苦痛になってきた。でも周りは私のことは微塵も気にしないで絵の才能だけを見ている。
私を真に理解している人など一体何人いるだろう。両親すら分かってないかもしれない。ずっと昔から友達だった親友ですら分かってないかもしれない。或いは私だって分からないかもしれない。そんな思いがぐるぐると心を駆け巡る中で大学の大会用の絵を描いた。
絵を描くことなんてもう嫌だ。自由になりたい。別の新天地へ行きたい。希望を持ちたい。そう願った。
皮肉にも自分が一番嫌悪している絵に込めた。その絵の燕は青空へ向かっていた。
この物語はフィクションです。
お題好きじゃないのに
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3/26/2024, 2:35:57 AM