いしか

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すれ違い。町に出れば、外に出れば、必ず一人とはすれ違う。

そんなすれ違いが、もし、今どき古くて使いたくはないけれど、運命を連れてきたら、どうなのだろう。

今日もいつもと変わらずいつもの町を歩く。

はずだった…。

「あのっ!あの、すみません」

私は誰かに呼ばれた。呼ばれた方へ振り向くと、そこには青年がいた。

「はい……。何でしょうか?」

人通りは沢山ある。何かあったらすぐ逃げ込めるお店もある。
もし不審者だったらすぐ逃げ込なくては。

「あの……、いきなり話しかけてきたすみません。俺、変なものじゃありません。
何処にでもいる大学生なんですけど」

「だから、なんですか?」

「好きです。」

「はい?!」

「一目惚れです。」

「いや、知りません。それに、今会ったばかりの人に好きになられても困ります。」

私はそう言い、足早にそこから去ろうとしたが、彼は諦めなかった。

「あの、少しっ!ほんの少しで良いんです。お話してくれまんか?」

「いい加減にしないと、警察呼びますよっ!」

そう、私が言ったとき…、

「あれ?柳瀬じゃん。何?ナンパしてんの?お姉さん困ってるじゃん。やめなよ」

彼に話しかけてきたのは、今どきギャル。
けれど、とてもしっかりしてそうな女性だ。

「お姉さん。ごめんなさい。こいつ失礼しましたよね。」

「えっ?あ、いや……、」

「柳瀬、良いやつなんですけど、考えなしっていうか、自分の気持ちに素直すぎて周りが見えづらくなる事があるんです。」

そう言うと、彼女は私に近づいてきて、

「あの、失礼を重々承知で言うんですけど、もしよろしければ、柳瀬とお話して頂けませんか?ほんと、少しでいいんです!
こいつ、悪いやつじゃないですし、どちらかと言えば、良い男なんです。
私は、林田 真夏(はやしだ まなつ)といいます。柳瀬とは同じ学部で同じクラスです。もしこいつが変な事してきたり言ったりしてきたらすぐに知らせて下さい。
これ、私の連絡先です。」

そう言うと、彼女は自分の連絡先を私に渡し、よろしくお願いします。といって去っていった。

私は彼女に免じてこのあと柳瀬君とお話したのだけれど、彼女の言う通りとても素敵な青年だった。
後に私は、彼と付き合う事になるのだけれど、彼女、真夏ちゃんは、今では私の良き相談友達だ。

10/19/2023, 10:41:27 AM