キッチンで、朝食を作る母親に挨拶する。
「おはよう。今日は部活があるから遅くな…」
目が覚める。…夢か。
通学の途中で友達に会った。
「昨日のカラオケでさ、お前が歌ったあの曲の…」
目が覚める。…夢か。
教室で、友達のゲーム自慢を聞かされる。
「お前もやってみりゃいいじゃん。まあそんな簡単に…」
目が覚めた。…夢か。
眠たい授業。夢の中のはずなのに。
「この辺はテストに出すからな。ちゃんと勉強しておかな…」
目が覚めると、見慣れた天井の下。
廊下の先を、あの娘が歩いている。
今、こっちをチラッと見なかったか?微笑んでくれなかったか?
目覚めないで欲しい。夢の中にいたい。
放課後、上級生グループに絡まれる。
「お前さ、最近調子に乗ってないか?俺達に舐めたマネしてると…」
夢だったら…勝負してみるか?どうせやられたって、目覚めればいいだけ。
帰宅後、リビングでテレビを見る。
「先ほど、国家首脳会談が決裂に終わりました。これから我が国は戦時下に入ります。心してください」
ニュースキャスターが叫んでいる。これはリアル。
夕飯の食卓で、父親が言った。
「受験勉強はどうなんだ?最近お前、怠けてないか?」
うるさい、ほっといてくれ。果物ナイフを握りしめる。
ベッドの中で、暗闇を見つめてる。
すべては夢なんだろ。
私の体は動かない。
当たり前の生活は遠い記憶の中。
夢で彼らに会えたら、再会に涙するだけ。
遠く、着弾の音が響く。
12/4/2024, 1:42:34 PM