その日。
全世界に向けて魔王から、「逆鬼根絶」が宣言された。
「逆鬼?」
「イカれた鬼だよ、根絶か…まあそれが安全なんじゃね」
「120万匹くらいいるらしいけど…」
「魔王が動くんだ、まあ絶滅じゃねえの」
「鬼の権利って認める方向だったよね?急になにがあったんだろ…?」
その宣言は少なからず、世界中の人々を動揺させた。
そしてその宣言はもちろん、私達の耳にも伝わってきた。
「逆鬼…根絶?」
「え、僕…」
ヨアは、逆鬼の証拠であるグラデーションの角に不安そうに触れながら、号外記事を見つめた。
「…っ駄目だよ、殺させない」
「ニュー」
「だって、そうじゃん!私達頑張って共生の道を探してるのにこんなのってない」
グッ、と息を飲む。
「魔王だって…いい人だって聞いたよ、きっと分かってもらえる」
「そう…だよね、そうだといいな」
いつの間にか暗雲が空を覆っていた。
灰色の雲に混じって、ほとんど見えない夕日の光が反射した赤い雲が空を下げている。
生ぬるい化物の吐息のような風が私達を舐めて息が詰まる。
心臓がバクバク音を立てだして、それに共鳴するように遠い空からザアァァァという音が近づいて来た。
9/16/2024, 11:53:37 AM