ちょっとしたイタズラなの。
去年の冬に毛糸を使って作ったものの余りを整理していた時に思いついて、眠っている彼の所に足を向けた。
寝室のベッドでしっかり眠っている彼を見て頬が緩んでしまう。
普段と表情が違うのが良いの。私しか知らない気の抜けた表情。
私は嬉しくて、持っていた毛糸を引っ張り出し、二メートルほどで切った。そして、私の小指に巻いてから彼の小指に蝶々結びをする。それは赤い毛糸。
絡まないようにゆったりと伸ばして広げてから、彼の横に寝転がった。
「ふふ」
起きたらどんな顔をするかな。
怒られるとは思わないけれど、びっくりするかな?
苦笑いしちゃうかな?
「起きるの、楽しみ」
そんなことを考えていたら、私もいつの間に眠ってしまっていた。
おわり
三九八、糸
6/18/2025, 12:54:59 PM