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待ちに待った今日、年金支給日に、ありったけの持ち金を握りしめてこれに賭ける。平日昼間にパチンコキメるなんざあたしらばばあじじいに生活保護か無職の浮浪者しかいないってそりゃあわかってんだ。
だけども、あたしにゃこれ以上の楽しみなんてないんだよ。
有り金が減るごとにどこかで「やっぱりこんなもんか」という虚栄に似た気持ちがあり、つと興ざめしそうになる。いやいや、そんなんじゃ務まらんよ、この遊技は。その一切を捨てた先にあるんだよ、勝ちというのは。

しかし一向に変わらない状況と場内の空気に、自分の心だけがひたすらに焦る。体の中をまさぐられるように熱い血潮のうごめくのを感じる。
「あたしゃこの間ァ10万勝ってンだ!!」思わず脇目も振らずに叫びそうになった。
腕や脚がうっ血した後みたいにドクドクと脈動し、目は血走り、手汗で操作が鈍る。
「隠居してもこれだけ血の巡りが良けりゃあ暫くくたばることはないな」と俯瞰した自分が言った。今この状況はもう死んでもおかしくないけど、最ッ高に生きてる感じがする。こんなにも胸が高鳴る。やれる。
奇跡をもう一度。

10/2/2024, 2:51:58 PM