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 日曜日の夕方、二人で賑やかな場所を抜けて、ビルの一角に迷い込んだ。さっきまでの喧騒が嘘のようだ。しんと静まり返って、高い天井と、広い通路、無機質な壁が続いている。

 まるで、その壁に人々がすーっと吸い込まれたのではないかというくらい、人の気配がない。しーんとした空間がずっとある。もしかしたら、外に出ると、誰もいなくなっているのではないか、という気がしてくる。

 二人で交わす言葉だけが、壁に当たって落ちてくる。この空間に、二人ぼっちだ。


「二人ぼっち」

3/22/2026, 9:22:19 AM