つぶて

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人類の蛮行、いよいよ目に余り。
神の法廷にてその滅亡を恃む声が上がった。
短気な神々は檄を飛ばし、
穏健な神々は異議を唱える。
決議は三日三晩に及んだ。
「では人類に直接問うというのはどうだろう」
その提案とは次の通りだ。

1.全人類に対し、24時間後に必ず滅亡すると知らせる。
2.滅亡の1時間前に全人類に滅亡の賛否を問う。
3.多数決により滅亡の可否を決定する。

滅亡派の神々は笑う。
「愚かな人間どもは我を忘れ、滅亡に身を堕とす」
存続派の神々は固唾を飲む。
「人間は聡明な生き物だ。必ずや存続を願うだろう」

その日、地球上では大混乱が発生した。
犯罪の横行。阿鼻叫喚の嵐。
そして選択の時。
「存続か。それとも滅亡か」
何を今更、と恋人を手にかけた女は言う。
滅亡だ、と泥酔した男は叫ぶ。

勝負は決した。
人類の大多数が存続を選んだ。
「人類も捨てたものじゃないでしょう?」
穏健な神々は莞爾として言った。

5/7/2023, 2:24:43 AM