"遠くの街へ"
昼食を食べながら、この前買ったこの辺のレジャー施設等が載っている観光雑誌を開いて眺めていた。
──ハナも連れて行ける場所……どっかにないかな……。
パラリ、またパラリとページを捲っていく。
「おっ」
小さな声を漏らし、ページを捲っていた手を止めてそのページをよく見る。
車で一時間程の所。遊具だけでなく、芝生になっている広場もある大きな公園。紹介文にデカデカと【ペットの散歩におすすめ】と書かれている。
──後でスマホで撮って、メッセで教えよ。
卓上の引き出しの中から付箋を取り出し、ページの上部に貼り付けて雑誌を閉じる。
──続きは夜中。
雑誌を机の端に置き、残りの卵サンドを頬張る。
手に持っていた卵サンドを食べ切って、皿の上の卵サンドを手に取って口元に運ぶと、いつの間にか膝の上に乗って眠っているハナを見つけた。
ご飯用の皿を見ると、綺麗に空になっていた。
──本当、食べるスピード早ぇ……。
ハナを見ていると、不思議と『自身ももっと食べなくては』という気持ちになる。
勿論ハナと会う前もちゃんと食事はしていた。ただ量など二の次で、必要最低限の栄養を摂るだけの食事だった。
ハナに離乳食を与え始めた時から、ハナの食いしん坊っぷりに引っ張られるように、自身の食べる量も増えていっている。
──そういえば何年も体重計乗ってない……。まさか、太ってねぇよな……!?
体型は数年前と変わらないが、ハッキリとした数字を見るまではなんとも言えない。
──今度行った時に測るか……。
知りたいような知りたくないような複雑な思いが胸中に疼いて、その思いを吐き出すように「はぁ……」と大きな息を吐く。
2/28/2024, 11:34:26 AM