黒蝶月

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雷が鳴る。大雨が降る。風も強くて、外を歩けばどこか遠くに飛ばされそう。

学校帰り。
立入禁止の廃墟ビル。
あまりの天気の荒れように迷う事なく足を踏み入れた。

止まらず荒れ狂う天気に焦点を合わさず眺めていると後ろから声がした。

「神様が怒ってるな」

明るくて優しくて、少年漫画にも少女漫画にも登場してきそうなみんなの人気者。先輩はそういう人。

「マネも雨宿り?」
「はい。今日はキャプテン一人なんですか?」
「そー。台風がひどくなる前に帰らせた」
「彼女さんのこと、随分愛してますよね。惚気ないでくださいよ。私も相手ほしくなります」

天気に似合わない春の陽のように優しく笑うキャプテン

「雨が止みませんね」
台風が過ぎ去ってしまうその時まで。少しだけ。許してください。

「雨っていうか台風すぎない?」
「キャプテンが先に雨って言いました。」
神様。感謝します。

9/12/2025, 11:10:58 AM