Largo giocoso

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『冬は一緒に』

子鳥のさえずりが聞こえてこなくなってきた。
ふと当たりを見渡すといつの間にか綺麗に染っていた木々は葉を落とし、気温はグッと下がっていた。

白い息がかかり、霜がおり、地面が凍り、動物たちは冬眠し、農作物も収穫の秋を迎えたことになにか物寂しいものとなる。

辺りはとても静かになる。

うるさいほど泣き叫ぶセミもいなければ、夜の演奏会を主催するコオロギたちもいなくなる。

その時は鬱陶しいが、いざ静かになるとそれらがふと恋しくなる。

……いや、そうはならないか。

周りの人達は体を温めるため身体を震わせ、衣類を倍ぐらいに羽織、暖かいものを好むようになる。

そして、まだかまだかと春を待つ。

だが、冬の夜空は一段と美しい。

大気中に含む水蒸気が少なく、塵やほこりも夏と比べると少なく、空が澄んで見える。

そして、日本一の山も同じ原理で美しく見える。

その上、地上でもキラキラと星空に負けないくらい輝く光もある。

だが、それらの光はどこか儚く、暖かい。

そんな冬が好きだ。

冬は一緒に私たちと共に長い夜を明るく照らしている。
天然の星々と、人工の光で。


だが、私たちが立っているこの場所から真下の国々では、長い昼をギンギンと照らしている太陽がある。

その上、衣類も私たちとは真逆にできるだけ涼しく、通気性を求める服装になる。


同じ地球だと言うのにこれほどにも全く違う。


あぁ、世界はなんて、美しいのだ。


そして半年後には真下の人々も冬の美しさに感嘆し、私たちは夏の暑さに驚愕する。


たしかに、冬はどこかに存在し、共に、一緒に地球を回っている。



12/18/2022, 2:10:43 PM