2023/06/09 【朝日の温もり】
-ああ、もう今日か。本当に朝って嫌だ。
眠さで重い瞼を擦りながら、だるい体を無理やり起こす。部屋はまだ暗かった。朝は嫌い。ようやく1日が終わったって思ったら、起きた時にはまた1日が始まってるんだもん。また不機嫌になりながら部屋の扉を開けて準備をし始める。
「ねえ、今度の連休3人でお泊まり会しない?」
「お、いいね!」
私の中学からの親友2人が口を揃えて言う。
「もしかして、予定とかあったりする?」
ハッとすると、お泊まり会発案者の親友の1人が不安そうに目を潜めていた。私が何の反応も示さないから、心配になったのだろう。
「ごめんごめん、ちょっと考え事してただけ!」
私がそう言うと、2人とも顔を見合わせて、安心したような表情をした。
2人ともどうしたんだろうか。
2人の反応がいつもと違う。
ちょっと気になりながらも、私は話を進める。
「誰のうちでお泊まり会する?」
そこに発案者の親友がスマホ画面を突き出してくる。
「実は、電車で20分ぐらいで行けるところに、ちょうど連休中割引で激安のおしゃれなグランピング施設があるんだよね!どう⁉︎どう思う⁉︎」
興奮気味に彼女はまくしたてる。
-もう、いつもこうなんだから。
もう1人の親友と顔を見合わせて、苦笑いを浮かべる。でも、こう言うところがやっぱり好きなんだよな。
「いいよ、時間とかはあとでね。」
チャイムが昼休みの終わりを告げる。後ろ髪を引かれながらも私たちは自分たちの席に戻った。
-ああ、もう今日か。
目を開けると、目の前にはまだ気持ちよさそうに寝ている2人の親友と、おしゃれでインスタ映えしそうな洋風な内装の広いグランピングテントの風景が広がっていた。
今日はグランピング2日目。昨日はみんなでバーベキューしたり、近くの山でハイキングしたり、夜は遅くまで恋バナしたり。
「あっ、おっはよ〜」
いつの間にか2人とも起きたらしい。
「いやーよく眠れたわー。カーテン開けるよ。」そう言って彼女はカーテンを勢いよく開ける。
そのとき、一気に日が入ってきて、すごく眩しかった。
そう言えば、いつも部屋のカーテン開けてなかったっけ。そのとき、気づいたら2人ともまた顔を見合わせて、私を観て笑っていた。
「よかった、元気になったみたいで。」
1人が笑っていった。
「最近ストレスでか、元気なかったもんね。」
「ちょっとは顔色も良くなったんじゃない?」
ケラケラと笑いながら2人はいった。
-そっか。私のために言ってくれたことだったんだ。
何だか無性に恥ずかしくなって、それ以上に嬉しくなった。
-ああ、もう今日か。本当に朝って嫌だ。
でも、窓から差し込む、美しく、それでいてとても暖かい朝日の温もりで、久しぶりに爽快な朝になった。
6/9/2023, 11:12:33 AM