かたいなか

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明日投稿分のおはなしと、ひょっとしたら繋がるかもしれないおはなし。

最近このアカウントの投稿作品にちょくちょく登場しておる、「世界線管理局」です。
管理局にある部署のひとつ、収蔵部収蔵化は、
滅んだ世界からこぼれ落ちたアイテムが、他の世界に紛れ込んで何かの影響を与えぬように、
局内に収容して、管理局だけに閉じ込めて、モノによっては局内のみで活用するための部署。

お題回収役のお嬢さんは、管理局でのビジネスネームをドワーフホトといいまして、
局内に点在する隠しキッチンで、ガサガサ、ごそごそ、なにやら作業中。

「おーい。ホト。ほーと。俺様が来たぞ」
親友の経理部のエンジニア、スフィンクスが来てもガサガサ、ごそごそ。
ドワーフホトお嬢さんは探し物をしておりました。
親友スフィンクスは、ドワーフホトから外出のお誘いを貰っておりました。

「ごめぇん!もーちょっとだけ、待ってて〜」
もうちょっと。もうちょっとだけ。
ドワーフホトは捜索に一生懸命!
かつて昔、局内に隠しキッチンを作った局員が、
戸棚に複数冊のノートを遺しておりまして、
ホトお嬢さん、スフィンクスとの外出に際して、ノートのうちの1冊が、どうしても必要なのです。

「何のノートだって?」
「ないしょ〜。待っててぇ」
「内緒って。見つかったらどうせバレるだろ」
「良〜いのっ。待ってて〜」
「ハァ。 しゃーねぇなぁ」

ガサガサ。がさがさ、パラぱらぱら。
明るく温かい照明の隠しキッチンには、
ノートを出し入れしたり、ページをめくったり、
アナログな音が、静かに響いています。

「まーだーか」
「ま〜だだよぉー」

「まぁーだか」
「まぁ〜だだよぉ〜」

待ってて。 待ってて。
スフィンクスを待たせてだいたい10分程度。
「あったー!」
ぱたん!ドワーフホトのお嬢さんは、ついにノートの複数冊から、目当てのひとつを見つけました。
「これ、これだよー、昨日の夜から探してた〜」

「徹夜したのか?」
「違うもん!ちゃんと、ぐっすり寝たもぉん」
「で 何のノートだソレ」
「まって、まって〜」

ドワーフホトホトお嬢さん、軽やかに跳ねてスフィンクスに、みつけたノートを見せました。
「これ、コレだよー」
「どれどれ。

……『2月14日スペシャル』?」

ハァ?なんだそりゃ?
スフィンクスがノートをパラパラ、ぱらぱら、
見ておりますと、どうやら東京都内の、食材店とその住所と、それから食材の名前と値段と、
最後に、店主さんの名前が几帳面に、
そこそこキレイな大人の筆跡で、記されています。

「随分と年代物のノートだ」
スフィンクスは言いました。
「20年?40年?意外と10年?」

「隠しキッチンの前のオーナーさんのノートだよ」
たまたま去年掃除してたら、ノート置き場の隠し扉と、その開け方を見つけちゃって。
ドワーフホトが答えました。
「間違いないよ、このキッチンのオーナーさん、
2月14日にこのノートに記された食材で、
カカオパーティーを開いてたに違いないよぉ!

あたしは、それを、現代に蘇らせてみせるぅ!」
「お……おう?」
「スフィちゃんも!一緒にがんばろ〜!」
「なにを??」

出発!おー!
さんざん待ってて その結果、外出に誘われた理由が食材の買い出しだったと気づくスフィンクス。
ドワーフホトは楽しそうで、スフィンクスは頭の中がはてなマークでいっぱい。

「まず、このカカオ製品専門店を、探しにいくぅ」
スフィンクスのハテナは、気にしません。
ただただ幸福そうに、楽しそうに、ドワーフホトは隠しキッチンから退出してゆきましたとさ。

2/14/2026, 7:12:16 AM