日付を気にしない生活を送るようになって久しい。時たま壁に掛けられたカレンダーを見ると、いつも同じ言葉がでる。
「今月ももう、こんなに日が過ぎてしまったのか」
今の私には、ひと月のあいだに一つか二つしか予定がない。一年前は違った。毎日が時間との勝負で、一日の中でどれだけの要望に応えられるかが重要で、カレンダーを見てはスケジュールを調整し、自分と人をどう動かすかに躍起になっていた。休日は寝るためだけに存在し、それを害されると非常に不愉快だった。
あの頃に比べると自由な時間がたんまりと持てるようになった。本を読み、気になった記事をタイプし、冒険心の欠片もない料理を作って、笑う為と泣く為に映画を見る。服装もだらしない。何年も前に買ったTシャツと短パンがあればそれでいい。まずいとは思いつつも、宅配便やご近所の訪問者にもこの格好で出てしまう。もっとまずい事を書くと、風呂に入るのも、髪に櫛をとおすのさえ、気分次第と言った具合だ。
しかし時が過ぎるのは以前よりずっと早くなった。何故だろう。ハリのない日々を送っているから? 実は一分一秒が充実しているから?
どちらも正解な気がするが、間違いないのは今、とても幸福だと言うことだ。
つまり、話をお題に戻すと、こと私の人生において予定なんてものは無いに限る。
生まれた姿そのままの、数字やら日干支やら六曜やらが書かれただけの、白いカレンダーが好ましい。
カレンダーの存在意義は、世間から乖離しすぎないよう、最低限の時の流れを知らせてくれる程度で良いのだ。
▼カレンダー
9/12/2023, 1:17:24 AM