お題 : どこ?
『あの、お兄さん』
「…はい?」
背中から幼い女の子らしき声が聞こえ、ふと振り返る。声から予想していた通り、それは想像していた通りの少女だった。
ただ、その要件が怖かった。
『私のカラダ、どこに行ったか分かりませんか?』
「………え?」
背筋がその場で凍ったのを覚えてる。
体?体は、今自分自身が持っていて動かしているはず。ちゃんと人だよな?……うん、人だ。
パニックになりながら、視線だけを動かして確認する。少女はそれ以上何か言うこともすることもなく、ただ固まっている。それが余計怖い。
「……君が今動かしている体は、君のじゃないのか?」
何を言っているのか、自分でも理解ができないが。確かこう言ったのを覚えてる。
それ以降、少女は急に消え、姿も見ていない。
「……そりゃ完全に憑いてますよ、"悪霊"とやらが」
「え、憑いてるんですか?」
「えぇ。うちの親から聞いた"強大な悪霊"の話と、貴方の話。完全に一致してます。ほんとうに危ない"霊"なので、ご気を付けて。」
「なるほど、ありがとうございます。……あの、最後に聞きたいことがあるのですが」
「はい?」
『僕のカラダ、どこに逝ったか分かりませんか?』
3/20/2025, 9:22:59 AM