たーくん。

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ギラギラな太陽の光を浴びて、めちゃくちゃ熱そうな砂浜。
水着に着替え、靴からビーチサンダルに履き替えていると、彼女が素足のままで砂浜の中を走っていく。
彼女は薄いピンクのワンピース水着を着ていて、まるで熱い砂浜に現れた癒しの妖精だ。
「あ、足熱くないー?」
「私、足の皮が分厚いから平気だよー!」
……マジか。
こうなったら、漢らしいところを見せるため、僕も素足で行くしかない。
ビーチサンダルには留守番してもらい、砂浜の中を走った。
「あっつ!あっ!あっつ!」
思った以上に砂浜は熱く、僕は熱々のフライパンの上で跳ねるポップコーンになってしまう。
「もう少しだよ!頑張って!」
彼女が波打ち際で僕を応援してくれている。
漢らしくいこうと思ったのに、これじゃ逆だよ。
急いで海に入り、熱くなった足を冷やす。
「ふふ、ここまで来る姿、面白かったよ」
「ははは……僕もいけると思ったけど、駄目だった」
空を見ると、太陽がこっちを見ていて、僕を笑っているように見えた。
結局、彼女に引っ張ってもらってばっかりだな……。
もっと漢らしくなって、彼女を引っ張りたい。
「無理に変わろうとしなくていいよ。今の君が大好きだから、そのままでいてね」
空から下へ視線を戻すと、彼女が僕を見て微笑んでいた。
太陽に負けないぐらいの、眩しい顔。
「えっと……うん、ありがとう」
彼女の笑顔に照れてしまい、なぜかお礼を言ってしまう。
……無理に変わる必要は、ないのかもしれない。
「せっかく海に来たんだから、遊ぼ遊ぼ!」
彼女は僕の手を掴み、バシャバシャと音を立てながら海の中を走る。
これからも、お爺さんお婆さんになっても、彼女の傍にずっといようと思った。

8/26/2025, 10:21:48 PM