「…ん…、」
「あ、おはよう」
いつもの紅茶の香りに目が覚めた。
寝ぼけ眼のままゆっくりと釣られるようにダイニングに入ると、やっぱりそこには朝から爽やかで余裕をもて余しているかのような隼人の笑顔があった。
「…おれも」
「え?」
「…おれも紅茶、のみたい」
俺が視線をそらしてぼそっと言ったのは、俺の頬が熱を持っているのは、寝ぼけているせいにしておく。
苦手だったはずの紅茶。
隼人と同棲するようになり、いつものように紅茶を飲んで一日を始める姿に憧れたのは内緒だ。
隼人は一瞬驚いたように目を開いたけど、すぐ穏やかな表情になって、かたんと音を立てて椅子から立ち上がった。
なんの意識もしてなそうなのにきちんと伸ばされた背筋に、無駄のない動き。
ああそうだ。昨日は隼人の長くて細くて、でも男らしい手に好きをまたひとつ募らせたんだっけ。
そんなことを思ったのは、その手がふっと伸びてきて、ふわりふわりとおれの頭に触れてきたからだ。
「柚月くん、…ほんときみはどこまで俺を捕えて離さないんだろうね」
「は…?なっ、に、いって…」
「柚月くんは俺が好きなものだから、気になったんでしょ?好きになりたいと思ってくれたんでしょ?」
「っ、ち、ちげえし。紅茶いい香りするし、目ぇ覚めるし、飲んでやってもいいかなって思っただけだし」
「あはは、可愛すぎかな」
「~っ、」
ばか、と小さく呟いて真っ赤に染まった顔を隠すように、引き寄せられたからだを密着させる。
抱き締めながらも、髪を撫でてくるその手には安心してばっかだ。
─紅茶の香り─ #107
(今日もどうしてもからだが動いてくれなくて、さすがにやんなきゃいけないのに、熱はかったら思ってた以上に熱あったので開き直ってアニメの続き見ました(おい)
…いやぁ、こいつ人気高そうだなった思ったキャラに落ちることはまずなかったのに、今回気づいた落ちてた自分がいた。昨日の大泣きの件といい、このアニメ恐るべし)
10/27/2024, 2:18:33 PM