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姫さま また、沢山のお願い事の山が来ておりますが、いかがいたしましょうか?

女官長はキチンと整え並べられた文が載った盆を捧げるように長く艶のある黒髪の持主が顔を上げるのを待った。小さなため息が聞こえた。

いつまでもお願いばかりで感謝もない。いくら妾が彼の地の者より優れていてもやりきれんわ。
この前の宣伝行為も未確認飛行物体の扱いで誰も妾の意図に気づかなんだ。誰ぞ妾に恨みでもあるのかえ?

盆の上の文を睨んでから女官長に脇に置けと手振する。

これも育ての爺様と婆様がいなくなってからの事、
調べはついたかの?

はい。姫さま。後の家を継いだ者が姫さまが言い残したと、困った事があれば文を送れ など持ち上げ、
『月に願いを』という観光スポットにしてしまったようでございます。未確認飛行物体も見られると付加価値をつけて一大産業になっておりました。

そうか。彼の地での妾の勤めは済んだ。爺様と婆様への恩も返した。哀しむかえ?妾がしようとしている事は。

何も知らずに文を書いた者は哀しむかと。

仕方ない。好き勝手にはさせるわけにはいかぬ。
今までの文を全て彼の地に戻しや。
文も受け付けるでないぞ。二度と。
この月の世界は交流を閉ざす。
『月に願いを』は一方通行じゃ。

彼の地では、ある日、空から大量の紙吹雪が舞い降りて来た。人々はかぐや姫からの祝福だと大喜びした。

5/27/2024, 4:06:56 AM