『部屋の片隅で、』
今日も部屋の片隅で小説を書いている。しかし、一向に筆が進まない。頭の中では、展開も結末も決まっているのに、それを表す言葉が見つからない。常々、自分の語彙の乏しさに苛立ちを覚える。僕は、学生時代に小説を書き始めた。その時は、毎日が楽しかったのか、いくらでも書くことができた。それが、今では、一日、1ページ未満しか書けなくなっていた。そんな時、窓を眺める。そこには、橙色の景色が広がっていた。全てを包み込みそうな優しい色が、視界を埋め尽くした。その瞬間、懐かしい記憶が浮かび上がった。帰り道にとんでもなく綺麗な夕焼けを見た記憶だった。今日の空は、その日の空の色によく似ていた。
もう少し頑張ってみようと、もう一度、筆を持った。
12/7/2023, 4:59:16 PM