マクラ

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『快晴』

本日快晴。
雲一つない、恨めしいまでの綺麗な空。
昨日の放課後に告白し、君の驚いた顔を見た途端怖くなった。
そしてそのまま逃げた身としては只々、学校へ行きたくない。
雲に遮られる事のない光も、絵の具をそのまま流したみたいな空も、学校へ行きたくない気持ちを高める要素でしかない。
それでも学校へ向かって歩みを止めないのは、告白に対して良い返事が聞けるかもしれない、という一縷の可能性があるからだ。

「……行きたくないな」

学校が近づくに連れ、登校中の生徒が増えるに連れ、行きたくない気持ちが募る。
行きたくなさすぎて、泣きたくなってきた。

(あぁ、嫌だな)

告白したことまで、後悔してしまいそうで。
本当はずっと言わないつもりだった。
だけど君なら、優しい君なら私の告白も受けてくれると思ったんだ。
あんな驚いた顔、初めて見たよ。

「おはよう」
「うひゃあ」

丁度君のことを考えていたから、君に声をかけられて驚いた。
違う意味でドキドキした。
でも良かった。
最悪、完全無視もあり得ると思っていたから。

「ねぇ、昨日の告白のことなんだけどさ」
「えぇ、あぁ、うん」
「いいよ」
「……え、本当に!?」
「……うん」

君は照れながら返事をくれた。
私の先程まであった不安など嘘のように消えてなくなり、むしろ今は踊り出したいくらいの気分だ。

「えっとじゃあ、今日からよろしくね」
「うん、でも初めてだから……痛くしないでね」
「もちろん、任せて」

やっぱり告白して良かった。
優しい君は今日もとても美味しそうな匂いがして、今からその時が楽しみだ。

『私……実は、吸血鬼なの! これから毎日少しでいいから、君の血を吸わせてくれませんか?』

4/13/2024, 2:04:13 PM