もうそろそろ、終わりにしなければ
静かに降り積もる雪をただじっと見ていた。生かされるだけの日々とよく似た、意味もなく降っては溶けてを繰り返すそれは、私の一部でもある。
今は寝転んで見上げることができるのだから、人生は何があるか分からないものだ。
昔、妹が生まれたと聞いてから何年も過ぎてようやく顔を合わせたとき、名前の通り静かで大人しい見目をした妹はこれまた静かに狂っていた。
赤く、昏く、私を見つめる妹は酷く哀れだった。
桜の咲く庭で、一度だけ妹と過ごしたことがある。白い花弁を雪のようだと言ったから、一つ枝を折って渡した。
花弁に触れて、花の名前や構造を教えて、冬を越した証だと伝えた。
ぼんやりとした昏い瞳に白い花弁が沈んでいくような気がして、枝ごとプレゼントした。
後日、打ち捨てられた枝と踏みつけただろう大きな足跡をみつけた。だからまあ、赤い花弁が散ることになったのだ。
息を吸って、吐いて、
どこまでも報われない妹のために私が動こう。
ただ争うだけの奴らは放っておいて、私は私の目的のためだけに動く。もう利用されるのは終わりだ。
兄弟愛なんて美しいものではないけれど、動く口実ができたことには感謝している。
あの子に、綺麗な言葉を教えたあの人にも、ね
【題:白い吐息】
12/7/2025, 10:55:32 AM