Frieden

Open App

「ところにより雨」

目が覚めた。でもまだ眠い。時計を見る。もう8時か。
自分はやっと起きたというのに、自称マッドサイエンティストの子供はとっくに朝ごはんの準備を終えていた。

「おはよう!!!今日も変わらず朝が苦手だね〜!!!」
そう言いながら、そいつはテレビをつけつつトーストと卵を焼き始めた。

テレビから天気予報が流れてくる。
〇月×日、△曜日、ところにより雨───

あー、今日は買い物に行くつもりだったのに、雨が降るのか……。仕方がないけど明日に変えようかな、そう思っているうちにトーストと目玉焼きが出来上がったみたいだ。

いい匂いがする。

「ふふん。今日は久しぶりに目玉焼きトーストを作ってみたよ!!!ボクが作ったんだから美味いに違いない!!!」
そう言って出来立てのトーストを頬張る。

自画自賛は置いておいて、たしかに美味かった。

「あ、そういや今日は買い物に行くんだろう??」
ああ。でも雨だからやめようかと思って。
「そんなこと言わずに〜!!!ボクも一緒に行くから買い物をちゃんとしたまえよ!!!」

やれやれ、仕方がない。
自分たちは冷たい雨の中、買い物に行くことにした。

もう春だというのに寒い。
「冷えるね〜!!!ボクは平気だけども!!!」
チョーカガクテキソンザイは呑気に言う。

家から5分くらいの場所のスーパーにつき、色々と買い物をした。最近減りの早い卵、食パン、トマト、それから夕食用のコロッケ。
「おいキミ!!!これを買い忘れてるぞ!!!」
そう言いながら大量のチョコレートを買い物カゴに放り込んだ。

はぁ……まあいいか。
買い物を終えて、スーパーを出る。
その時、晴れ間が見えていることに気づいた。

傘を差さなくてもいいから楽だと思いつつ帰路に着くと、あいつは急に叫び出した。
「見たまえ!!!ほら、あっち!!!」

言われるがままに指差す方向へと目を向けると、
虹が出ているのが見えた。
久しぶりに見た虹は、街を七色に照らしていた。

たまには雨の日に出かけるのもいいかもしれないな。
そう思って、自分たちはゆっくりと家に帰った。

3/24/2024, 4:07:10 PM