ゆかぽんたす

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望まなければ、求めなければ失うことなんてないのに。どうしてこんなに貴方を思う気持ちは日々膨らむんだろうね。そんなことを考えながら隣の貴方を見た。何?、と笑い返されてそれだけで私の心は満たされる。
「今何考えてたの?」
「当ててみてよ」
絶対に当たらないと思うよ。私の心の中なんて貴方には見透かせない。こんなに思っていても、この気持ちは一方通行だから。いつか気付いてもらえる日が来るのかな。私が言わない限り、無理なのかな。けど、伝えたら貴方が困るでしょ?本気で告白しても叶わない恋だと分かりきっているし。私も傷つきたくないからこれ以上は踏み込まないようにしてる。
「うーんと……あ、分かった」
「なぁに?」
「今夜何食べようかな、とか?」
なんで。こんな人好きになっちゃったんだろう。優しくて穏やかな人なんて地球上に何億人もいるのに。なんでこの人なんだろ。どうして見込のない恋を続けてるんだろ。
「ぜんぜん違うよ」
少し声のトーンを落として答えた。それは貴方が考えていたことでしょ。貴方には帰る場所があるもんね。今夜のご飯はなんだろう、なんて、そんな平和なこと考えながら今私の隣にいるの?優しいのに、案外残酷な人。
「違うの?じゃあ答えは?」
「教えない」
「えーなんでよ、良いじゃん、気になるから教えてよ」
好き。言えてしまえばどんなに楽になるだろうか。たった2文字の言葉が私には果てしなく遠いものに感じる。じゃあせめて、そこまで責任を重く持たない言葉を送らせてよ。これくらいは許して。
「行かないで」
「え?」
「考えていたことの答え。行かないで、って思ってたの」
「僕はどこも行かないよ」
「……そうだね」 
貴方はどこにも行かないけど、私の前から消えたりしないけど、絶対に私のものにはならない。私から離れたりしないなら、“欲しい”と思うのは我儘すぎるのかな。貴方が微笑むたび心のずっと奥のほうが痛いよ。
心はとっくに泣いてる。
報われない恋を嘆いてる。

10/24/2023, 1:27:01 PM