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 数か月前、考古学者である私の元に、ある情報がもたらされた。
 それはジャングルの奥地に、誰も踏み入れたことがない遺跡があるということ。
 聞いた時は半信半疑であったが、もし本当なら人類史をひっくり返す大発見である。
 私は数日悩んだ末、まだ見ぬ遺跡へと旅立つことにした。

 だがジャングルは危険だ。
 そこで私は、不測の事態に備えるため、あらゆるジャンルのエキスパートを集めた。
 何があっても対応できると太鼓判を押せるドリームチーム。
 これだけの天才が集まれば、ジャングルの踏破は簡単だと思われた。

 だが認めよう。
 ジャングルをなめていたと。

 獰猛な猛獣、未知の疫病、毒性をもつ植物、危険な地形……
 ありとあらゆる困難に、我々のチームは一人、また一人数を減らしていく。
 だが弱音は吐くものはいない。
 我々は使命を帯びているからだ。

 そして遺跡にたどり着いた時、たくさんいたチームは私一人しかいなかった。
 急に心細くなるが、自らを振るい立たせ、移籍へと歩を進める。
 途中で脱落した者たちのためにも、この遺跡を調査する義務があるのだ。

 だが私は遺跡を見て、奇妙な点に気づいた。
 その遺跡は、他の遺跡では見たことがない構造だった。
 金属の棒だけで構成され、まるで立方体を積み上げているかと錯覚するような意匠。

 なんらかの目的で作られたことは明白。
 しかし考古学のエキスパートである私であっても、その目的までは見当がつかない。
 実に奇妙で、不思議な遺跡。
 しかし答えは意外なところからやって来た。

 どこからともなくサルたちがやって来て、この遺跡に登り始めたのである。
 生物学者ではないので断言できないが、まるで遊んでいるように見えた。
 その様子を眺めていた私は、雷に打たれたように閃いた。

 これは古代におけるジムのような、運動を運動をする施設なのだ。
 なんてことだ。
 古代にこんなものがあったなんて……

 世紀の発見である。
 私は世に知らしめなければいけない。
 そのために、私はこの遺跡に名前を付けることにした
 これに名前をつけるとすれば――

「そうだな、ジャングルにあるジムだから、『ジャングルジム』と名付けよう」


 ◆

「これがジャングルジムの由来です。
 また一つ偉くなったね」
「今日は四月一日じゃねーぞ」

『とある姉弟の会話』

9/24/2024, 1:38:44 PM