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1つだけ…。

うーん…(・ัω・ั)

物語が良いかな…。
短く、短く。

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午後3時。
給湯室に置いていたお饅頭が減っている。
昨日まで未開封だったそれは、6個入りのところ4個減っている。2個しか入っていない。
昨日の夕方に一度給湯室に入った時は未開封のままだったので、無くなったのは、夕方から夜にかけてだろう。
昨日遅くまで研究所に残っていたのは一人。

…犯人はあの人に違いない。

「博士!お饅頭食べたでしょう!」

研究所のドアを開けて早々、私は博士に詰め寄った。

「あれは来客用でもあったんですよ!それなのに1人で4つも食べちゃうなんて!今日はお茶菓子抜きですからね!」

私の勢いに博士は目を白黒させると慌てた様子で手を横に振った。

「ちっ、違うよ。誤解だよ」

「何が誤解なんです?」

昨日遅くまで残っていたのは博士しかいないのに、何が誤解だろうか。

内心息巻いていると、博士は眉をハの字にしながら事の真相を話しだした。

「昨日君が帰った後、来客があってね。来客と言っても学生時代の友人たちなんだけど。4人ともバラバラなところに務めているのに駅で偶然出会ったらしくて。飲みに行こうってなったらしいんだ。で、たまたま選んだお店が研究所近くだったから顔を出してくれて。飲み会は断っちゃったけど。代わりに、お茶と一緒にあのお饅頭を出して…。あの、だから、その…。僕は、食べていないよ」
博士は力なく笑うと、
僕はそんな食いしん坊に見えるのだろうか。と小さく呟き、しょんぼりと項垂れた。

その様子を見て今度は私が慌てる番だった。

「ごっ、ごめんなさいっ!とんでもない勘違いをしてしまって…」

件のお饅頭は、駅前商店街の老舗和菓子店が手作りしているものだ。
日持ちはしないが絶品で、来客からの評判もすこぶる良い。
かくいう私も博士もあのお饅頭が大好きだ。
名目は来客用として用意してあるが、消費期限が迫れば私達のお茶菓子になっている。
今日私が給湯室で確認したのだって、賞味期限がそろそろ迫る頃だと思ったからだ。
3時のおやつに博士と食べようなんて浮かれていたからこそ、あの怒りに繋がってしまったわけで…。
でも、こんな勘違いだなんて。穴があったら入りたい。

「3時…。おやつの時間だったんだね」

博士が壁にかけられた時計を見ながらポツリと言葉を発した。

「君と3時の休憩を取るのが楽しみなんだ。…僕にもあの美味しいお饅頭を1つだけくれるかい?」

「私の分も良ければ食べてくださいっ」

私が謝罪の意味を込めて力いっぱい答えると、博士は軽やかな笑い声をあげた。

「ありがとう。けどね、僕は君と美味しいものを共有する時間が好きなんだ。だから、1人1つずつ仲良く食べよう」

博士はそう言うと優しく微笑んだ。

4/3/2024, 12:53:48 PM