ナナシナムメイ

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〈お題:目が覚めると〉

そこは、浜辺と森の境界線に築かれた防衛拠点である。

諸外国の侵略から身を守る為に存在するため、性質上、常時警戒する必要性に駆られていた。

海の脅威といえば、津波などの災害が一番に警戒される。

津波への対処として、敵の侵攻を阻止できる条件下で最も適切な処置は人工的な丘を幾つか作って、津波の勢いを殺してしまうことである。

平時には見張り台として、有事には防壁としてその丘は機能している。

認識としてはまさにその通りであるが、俺にとっては拠点で訓練しつつ海を眺めるだけで生活できる良い場所である。

諸外国の存在だって言葉の通じない漂流者が幾人いるというだけで、攻めてくると警戒する必要は本当にあるのか、疑問に思ったりする。

上層部のこの判断に救われて俺はこんな楽な仕事につけているから、文句はないが。

「今夜は少し荒れてるな」

今年も蒸し暑くなってきたのだ、海が荒れるのも仕方のない事。

寝て覚めて外を見れば、きっと穏やかになってくれているに違いない。

「という、夢を今日二度寝をしたら見た。目が覚めると夢なのか妄想だったのかよくわからないよね」

(…最近腰を据えて考えられてないです)

7/10/2024, 11:01:00 AM