【見つめられると】
月に一度も会えない距離に済む私は、いざ君の視線に晒されるとなると正常さを保てない。
「どうしたの」っていつものように言うけれど。答えを知っていながら聞いているのだと、私は知っている。細められた視線の奥をまっすぐ見つめ返せたことはないのではないだろうか。見つめられるだけで舞い上がり、鼓動が早くなって、すぐに目を逸らしてしまう。そんな光を内包する君の瞳には、なにか魔法があるのではないかと、私は疑っていた。
「……!」
感嘆符だけ飛ばして黙って……というより、言葉が何も発せなくなった結果として口を噤んだ私は、苦し紛れに君の手をとり、口付けをした。甘く痺れる感覚が直に脳へと流れる。君と触れ合う全てがこの感覚で埋め尽くされているから、きっとこれが幸せの触感なのだ。
「ふふ。」
心底愛おしそうに目を細めた君は、黙って私をまた見つめる。あまりにもその顔が嬉しそうなものだから、私は堪えきれなくなって、その顔を量の手で捉えてキスをした。
3/28/2026, 12:54:14 PM