récit

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僕はアビシニアン。イケメンなイエネコさ。

僕にはちょっと変わり者の友だちがいる。
彼はライオン君。
彼は背中に幾つものファスナーを持っているんだ。

ある日のこと、彼はマタタビ酒を口にした。

すると、彼は背中のファスナーを下ろし始めた。
ほろ酔いで、ライオンの着ぐるみを脱ぎ捨て、彼はチーターになった。
過去の自分を脱ぎ去るように軽くしなやかに。

酔いが回ると、もう一つのファスナーを開け、今度はヤマネコに変身した。
さらに酔うと、最後に彼はトラ猫になったんだ。僕と同じイエネコだ。

この変身プロセスは、なかなかに美しいショーだった。

この時、僕は彼と対等な存在になったと感じた。
そして様々な深い話をすることができた。
マタタビ酒を味わい、僕たちの距離が縮まってすっかり仲良くなれたのさ。

「君の背中」

2/9/2025, 1:19:53 PM