【奇跡という名の災厄】
ある国に自然を愛する双子の姉妹がいました。
2人は仲が良く,どこへ行くにもともに行動をしていました。
そんな2人は不思議な力を持っており,奇跡を起こし万物を癒やすことができました。
しかし,2人の力を知った国王はその力を私利私欲のために使い,双子を離れ離れにしたうえで閉じ込めました。
それから数年後…,双子の国と他の国とで戦争が起き双子は負傷した兵士を癒やすため無理やり戦場に連れていかれました。
戦場に連れて行かれた双子が目にしたのは,草花であふれていた面影を失い焼け野原と化した故郷でした。
人々が泣き叫ぶ声,肉や木の焼ける臭い,鉄と鉄がぶつかり合う音…。
今までに感じたことのない怒りと悲しみがフツフツと湧き上がり双子をつつみました。
そして、双子は奇跡を起こしました。
戦場の音をかき消すかのように雨が降り,地表から新芽が出,すくすくと育ち全てを飲み込みました。
もう、誰も双子を止めることはできません,2人が愛したモノ全てが消えてしまったのだから…。
静寂となった元戦場は青々とした緑が生い茂り,動物と植物が共存する美しい森となりました。
双子の行方を知る者はもう居ません,しかしただ1つわかることはこの森に入った者は誰1人戻ってくることはなく,誰かが立ち入るたびにその森では人型の奇妙な植物が生えると言うこと。
10/3/2023, 9:22:16 AM