茶園

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短い小説 『冬の始まり』

 いよいよ朝が本格的に寒くなってきた。ストーブを手放せなくなった私。もう情けないだのだらしないだの言われても構わない。私はとにかく温まりたいのだ。
 とは言え、いつまでも寝てたらお腹が空く。寝ても食べ物はやって来ない。仕方なく自分から取りに行くことにした。
 …と思ったら棚にも冷蔵庫にも食べ物がない!なぜ買っとかなかったのか。冬眠の準備を忘れた熊のような気分だ。のんびりな日は急に修行の日に変わった。

 ぶるぶると震えながら外に出た。吐息が白いことに気づく。鼻と口を手で覆うと、鼻が冷たく、吐息が温かかった。

 はあ、もう暖かくなることはないんだな…。

 本格的な冬の始まりを目の当たりにした私は、落ち葉だらけの道をスニーカーで踏み歩く。
 コンビニで肉まん買って食べて、温まってからスーパーで食べ物集めよう。そう考え、コンビニへの短く長い道のりを歩くのだった。

11/29/2022, 11:49:12 AM