街の明かり
実家は田舎だから夜になると人通りが少なく、また民家と民家の間にも距離があるため、明かりはまばらだ。
そんな光景も悪くは無かったが、都会に出てきて何年かは実家には帰っていない。
電話は時折りするだけだ。
都会の街中は夜でも煌々としている。
むしろ、昼間の時より一際輝いているが、酔っ払いのサラリーマンの愚痴や、ホストクラブの勧誘の声など騒々しい。
眠らない街、東京とはよく言ったものだ。
初めて上京してきた時には、そのまばゆい光に圧倒された。
だが、孤独だ。
人は大勢いるというのに、どこまで行っても孤独を感じる。
終電を逃した。
走れば間に合うくらいだったが、走るのを拒否した。
何だか、ゆっくりしたい気分だった。
明日は土曜だ。
レイトショーもあれば、ネカフェもある。
一人居酒屋だって構わない。
信号や車のライト、店のネオンなどが段々と滲んで、水彩画のように写し出した。
(泣いているのか?)
自分でも不思議だった。
頬に伝わる涙は、暑さで少し生温かい。
祝日の月曜も入れれば三連休だ。
久しぶりに実家に帰ってみようと思った。
田舎の素朴な街の明かりを久しぶりに見たい。
7/8/2024, 12:32:50 PM