【世界の終わりに君と】【透明(続)】
幻想郷が崩れ始めた。正確には幻想郷と外の世界を分離させている博麗結界が崩壊して世界のバランスが不安定になり、それを安定させるため世界が幻想郷を消そうとしている。それが今、進行している。時間は残り数時間。今日の深夜まで。
博麗神社。昔、博麗の巫女が住んでいたらしいが私たちの時代には存在しなかった。
私はいつものように自宅で研究をしていた。静かな森の中に1軒。魔法の森に囲まれており、そんじょそこらの者では立ち入ることさえできない。できる者となると、魔法の森に耐性でもあるか、上級レベルの妖怪か。最近誰と話したかなぁ?記憶はいるんだが、姿までは覚えてない。人里にも行ってないし、一体誰だったんだろう。そう思いながら私はリビングに飾ってある写真を見た。変な写真だ。私は右に寄って柱を中心にしている。普通なら、こんなところを撮るはずがない。まぁ、そんなことを気にしても意味はないか。どうせ数日後に幻想郷は消滅するのだから。
紫「魔理沙!紅霧異変や春雪異変、誰が解決したか覺えてる?」
突然現れた幻想郷の賢者である八雲紫が慌てた様子で私にその問いを投げかけた。
魔理沙「はぁ、そんなの私とあいつに…。誰だっけ?」
紫「あなたも覚えていないのね。」
魔理沙「レミリアや幽々子に聞けばいいじゃん。」
紫「聞いたわ。だけど、ふたりとも覚えてないって。これは今回の異変に関係していると私はふんでいる。」
魔理沙「そうか。でも、幻想郷は崩壊し始めてる。私たちは何もできない。なすすべなしというわけだ。たがら、最後くらい好きなことをしようぜ。」
紫「あなたは、幻想郷を捨てるの?何もできないからって。」
魔理沙「だって、実際そうだろ?」
紫「わからないじゃない。誰がそれを言ったの?これは異変なの。異変っていうのは解決策が必ずある幻想郷全員の問題なの。私の愛する幻想郷を救うために、あなたも戦ってちょうだい。お願い。」
魔理沙「…。わかったよ。私は私のできることをするよ。」
紫「ありがとう。なにかわかったら呼んでちょうだい。」
魔理沙「あいよ。」
紫は自分の能力で作った隙間の中に入った。紫も誰かを忘れている。とりあえず、外に行ってみようか。
この異変は幻想郷の異変解決者にのみ教えられている。そのため、人里はいつもどうりだ。
おばさん「餅や団子はいらんかね?」
私はそちらに視線を向けた。お団子。誰かに買ってもらったきがする。とりあえず1つ食べてみよう。
魔理沙「おばさん。お団子1つください。」
おばさん「はいよ。あらまぁ、あなたこの前も買って来たわね?」
魔理沙「そう…だな。」
おばさん「その日の夜は大変だったわね。ありがとね。この街を守ってくれて。もうひとりの人にも「ありがとう」って伝えとって。お代はいらないよ。」
魔理沙「あの、その人のこと知りませんか?特徴とか容姿とか。」
おばさん「?あんたの友達じゃなかったのかい?」
魔理沙「記憶がなくって。」
おばさん「そうねぇ。私もあまり顔は見ていなかったけど、服装が赤かったわ。リボンもしてた気がするけど。それだけしか覚えてないわ。ごめんね。」
魔理沙「ありがとう、おばさん。」
赤色の服装。そしてリボン。有力な情報をゲットした。これが何に関係するのか、いろんな奴に相談しよう。
レミリア「この先の運命をみてほしい?」
私は紅魔館の主であるレミリア・スカーレットのもとへやってきていた。
魔理沙「あぁ、良い運命なら赤色の服を着た人物が映るはずだ。」
レミリア「あのね。幻想郷が崩壊しているのよ。そんな未来が見えるはずがないわ。」
魔理沙「そこをなんとか頼む。」
レミリア「はぁ。わかったわ。ちょっと邪魔しないでね。」
そう言って、目を瞑るレミリア。
レミリア「あまりにも鮮明すぎる。運命はいろんな選択肢ができる。鮮明に見えるほどその未来は高い確率で起こる。で、今見えてるのは崩壊の瞬間。崩れ始めている。まるで宇宙空間にできたブラックホールのように座れている。数くなってきたわ。…あ!赤い服を着た女が博麗神社の前に立っているわ。何か言っている。「はくれいのみこ」って言ってる。」
博麗の巫女か。長年現れなかった奴が原因か。
魔理沙「ありがとうレミリア。私、ちょっと行ってくる。」
レミリア「ま、待ちなさい。まだ未来は…。全く。」
私は博麗神社へやってきていた。中はとても整理されている。札も杖もある。初めてみたはずなのにそんな気がしない。私はもっとおくの方を探索してみた。
日が暮れ始めて、オレンジ色の空がきれいに見える。何もなかった。だけど一応、札と杖は持って帰った。最近、家で透明について研究していた。なんで研究したのかわからない。まぁ、その時の直感で始めたのだろう。私は家の玄関のドアを引き中に入った。腹が減っては戦はできぬという。だから、私は最後の晩餐をした。
残り時間がもうほとんど残っていない。何も分からなかった。この異変について。あぁ。最後だ。最後だけは好きなことでもしよう。そう思ったので私は研究室に入った。
魔理沙「さて、この薬を使ったら透明になれるはずだが、一応毒解薬2個もっとこ。」
私は頭上から薬をかける。
魔理沙「鏡はどこだっけ?あ、リビングにあるんだった。しょうがない。戻るか。」
私は再びリビングに戻った。
魔理沙「さぁて、どんなだ?おぉー、完璧じゃないか。ん?」
私は鏡に映っているテーブルの上にある写真を見た。そこには柱を中心に私と赤い少女…。赤い…。
魔理沙「霊夢!」
私は声を上げた。記憶が戻った。霊夢はどこだ?急いで外に出ようと思ったとき、床に霊夢の姿があった。
魔理沙「霊夢!」
私は叫ぶように彼女の名前を呼んだ。急いで毒解薬を使う。鏡には霊夢の姿が映し出された。一安心。私も、元の姿に戻った。
魔理沙「ごめんよ霊夢。私のせいで…私のせいで。」
霊夢「いいのよ。結果が全てって言うじゃない。」
私はその後嗚咽を漏らし、長時間にわたって泣きながら謝罪した。
異変は解決された。霊夢が復活し、博麗結界が修復され、世界のバランスが整った。今回の異変の原因は私だった。だけど、私の研究で幻想郷を元通りにできたのなら…。
finish
6/8/2024, 9:14:52 AM