NoName

Open App

冬の晴れた空は優しげな色合いをしている。
水色にもライトグレーにも見える空は低く広がり、降り注ぐ太陽光線も淡く控えめだ。
しかしその穏やかな眺めと裏腹に、外気はまるで研ぎ澄まされた刃物のように冷たい。
外に踏み出した瞬間、皮膚を切り付け肺を裂いていくような冷たさに思わず肩をすくめる。
この切れる感じを忘れないでおこうと思う。
冬の日、音は驚くほど遠くまで響く。
車の音も人の話し声もやけにクリアなのに、自分の思いはいつも言葉にならず、白い吐息だけが溶けていく。
冴え渡った空気は何か新しいことが始まる予感を生む。
世界が動き出そうとする前の静けさみたい。
でもまだ焦らなくていいんだ。皮膚の傷口はそのうち乾いて馴染んでいく。
冷たい風の中で一人で立つ。冬の晴れ間は痛みと優しさが同時に存在して澄み切っている。今はその調和に身をまかせてみる。冬景色の一部であればいい。

冬晴れ

1/5/2026, 1:38:11 PM