題:燃やし続ける
「早く!彼の命が、燃え尽きてしまう前に!」
ゼルダの悲痛な叫びが辺りに響き渡った。
❁ ❁ ❁
彼の命は、助かるのだろうか。
あの装置はまだ未確認部分が多々ある。そんな装置に彼を入れるなど……。
……分かっているけれど、彼を救うことができるかもしれないのは、この装置しかない。
仕方がないとは分かっていても、彼が何年後に目覚めるか、そして彼の身体に何か支障が出ないとは思えない。
不安しかないけれど、これに頼る以外の術を、私は知らない。
だから、彼が運ばれていくのを見送ってから。
私は一人で、ハイラル城へと赴いた。
「リンク、あとは頼みます」
何年後かに目覚める貴方に、希望を託して。
❁ ❁ ❁
彼の命の灯火は、まだ燃えているのだろうか。
彼が眠りについて、百年の刻が経った。
厄災復活時に覚醒した封印の力で、今も尚、私はガノンの力を抑え続けている。
そして、ガノンの力を抑えながら、彼に話しかけている。
目を覚まして、と。
私は、そろそろ限界。
このまま彼が目覚めなければ、確実にガノンは力を解放し、百年前を超える大厄災が訪れる。
そうなれば、本当にハイラルは終わりを迎えるかもしれない。
そのためにも。
彼が目を覚まし、今もガノンに乗っ取られている神獣を解放し、厄災を討つ手助けをしなくては。
彼こそが、最後の希望。
英傑達と共に、消えない灯火を宿して。
お題『消えない灯り』
12/7/2025, 12:43:15 AM