愛を叫ぶ。
「好きだ!!大好きだあああああああああああ!!!!!」
もうすっかり暗くなってきた屋上に、女子高生の声が響く。
「あああ…あああぁぁぁ〜…」
満足するまで叫び終わったのだろうか、彼女はフェンスから手を離し、私の隣に座り、私のジュースを奪って飲み干し、ぺらぺらと喋り出した。
「もうちょい残しといてくれてもよくない?ちょっとしか入ってないじゃん!」
「それ私のなんだけど」
「たまにはいいでしょー?可愛い女の子が失恋中なんだからもっと優しくしてよー…モテないぞー?」
「自分で可愛いとか言っちゃうんだ」
また性懲りも無く男子にアタックして撃沈したらしい彼女は、また性懲りも無く私に話を聞かせる。私もまた、性懲りも無く付き合う。
「うぅ…こんなに可愛い子に告白されて断るとか信じられない…ねぇ信じられないよねぇ」
「ちょ、あんまベタベタくっつかないで」
「わーん」
…だいたい、異種族同士で付き合えると思っている彼女のほうが変だ。獣人族は獣人族同士、ヒト族はヒト族同士で付き合うのが常識…彼女は確かに可愛いが、獣人族は美の基準が違う。ケモナーというのは難儀なものだ。
「ごめんねぇ、いつも付き合ってもらっちゃって。もう暗くなっちゃったね…」
「…いいよ別に。誰もいない校舎は割と楽しいし…」
「優しい〜!大好き〜!」
「そりゃどーも…」
大好き、ね。これはあくまでも親友としての好き…さっき叫んでたやつとは種類が違うんだろうな。
あぁ、私なら付き合ってあげられるのに。私なら彼女を可愛いと言ってあげられるのに。もうこんなに“大好き”なのに。私も獣人族だったら良かったのかな。
「そろそろ帰ろっかー!ありがとー!」
「…ん、元気そうでなにより」
せめて、こんな関係がずっと続けばいいな。
5/11/2026, 12:57:39 PM