フラワー


花をとても上手に活ける人がいる。

その時、私が見たのは紫陽花だったのだけれど。

ピンクや水色、薄紫の淡いグラデーションに彩られた6～7本のその花たちは、自分が枝ごと切り取られたことにまだ気が付いていないようだった。

それなのに、透明のフラワーベースの中で何事も無かったように生き生きと咲き誇っているではないか。

素敵……

私は目を見張った。

「お友達の家の庭で咲いていたのを何本かいただいてきたのよ。」

茶目っ気たっぷりに、そう言ってふくよかに笑ったのは私の姑だ。

昨今、だいぶ耳が不自由になり、細やかな意思の疎通が難しくなってしまったけれど、昔からセンスの良い人だった。

ここのところ雑事に追われしばらく会えていないが、きっと今頃は室内で桜が見頃になっていることだろう。





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フラワー

4/8/2025, 5:42:42 AM