行かないで。
「ごめん!!本当にごめん!!謝るから……!!置いて行かないで……!!」
目の前の彼に泣きそうな声で訴えかける。
「バカとか、キモすぎとか、咄嗟に出ちゃっただけなの!!お願い!!待って!!」
今回こそは冗談ではなく必死だった。
彼でさえも私の元から離れてしまったら、私はきっと一生立ち直れない。
きっと、もう二度と自分の部屋のベッドから動けない。
「お願い……!」
「いや、俺もう無理。もう待てないわ。だってかなり待ったよ?なのに状況は一切変わらなかった。なら仕方ないじゃん。」
「そんな……」
彼がいなければ私は……
私は……!!
「……うッ…ぁ……」
恐ろしさについに涙を我慢できなくなってしまった。
そんな私を見て目を丸くした彼。
「おいおい……泣くことないだろ……。
んな蜘蛛ごときで……。
お姉ちゃんでしょ???」
「いや無理じゃん!!!やだよ蜘蛛に怯えながら眠るの!!キショい!!まじ◯ねク◯が!!!」
さっきからずっと私が弟に縋っていた訳は簡単だ。
この家で蜘蛛に耐えられるのは弟だけだったからだ。
弟でさえも私の部屋を出てしまえば、蜘蛛に怯えながら眠ることになってしまうのだ。
「あ、いた」
「えッどこッ」
「お姉ちゃんのうしr」
「ギャアアアアアァァアアアァァァァァアア!!!!!!」
その後弟が無事にティッシュで包んで逃がしてくれました。
「てかお姉ちゃん部屋汚すぎ。だから蜘蛛湧くんだよ。」
「お黙り!!!」
(見返してみるとわかりやすいと思いますw)
10/25/2023, 8:35:06 AM